富士登山というと、頂上を目指す厳しい登山をイメージしますが、実はその中腹にも、富士山の息吹と自然の魅力を存分に味わえるトレッキングコースがいくつか存在します。
中でも、標高約2,300m付近を巡る「御中道~御庭~奥庭」は、雄大な景観と静寂の森、そして信仰の歴史を感じられる絶景ルートです。
数々のレストランやお土産店が立ち並ぶ富士スバルライン五合目からアクセスできるお手軽コースで、5月初旬〜11月初旬に楽しめるのが特徴!
今回は、そんな「御中道・御庭・奥庭」の魅力や見どころについて詳しく解説していきます!
「御中道・御庭・奥庭」トレッキングMAP

自然と信仰が交差する神秘の古道「御中道」(Aルート)
現在、一般的に御中道(Aルート)と呼ばれる場所は、主に富士スバルライン五合目~御庭までの区間を指します。
かつての御中道は、富士山の五合目~六合目周辺の標高をぐるりと一周する、長く険しい修行の道でした。
この道は、富士講と呼ばれる信仰集団の修行の場として重視され、単なる登山道ではなく、心身を鍛えるための特別な巡礼ルートでした。
【かつての御中道ルート】
御中道を歩くことは、富士山に登る以上に精神的な意味合いが強く、昔は富士山に3回以上登頂した経験を持つ者だけが歩くことが許される、非常に格式の高い道だったのです。
それは、かつての御中道ルートが、整備されていない険しい道を進むことや、断食行などをしなければいけなかったためです。
一周約25kmと距離も長く体力的にも非常に困難な道でした。そのため御中道は、信仰と覚悟を持つ者だけが挑める、特別な修行の道だったのです。
現在は、崩落や植生保護のため通行止めとなり、当時の御中道の全てを歩くことはできません。
そのため、御中道(Aルート)と呼ばれるルートは、現在、主に五合目から御庭までの比較的整備された区間に限定されているのです。
このように、御中道は歴史的にも信仰的にも深い意味を持った道であり、現在でもその一部を歩くだけで、かつての修行者たちの足跡に少しだけ触れることができる特別な体験となっています。
苔に覆われた静かな樹林帯が広がるこの道では、四季折々に異なる動植物と出会える楽しみもあり、訪れるたびに新しい発見があります。
日常の喧騒を離れ、心を鎮める時間がここには流れています。
旅の始まりは、富士スバルライン五合目に設けられた階段から。これから始まる“御中道の旅”への期待が胸に広がっていきます。
階段を登り切ると、すぐに深い森の中へと誘いこまれます。空が晴れている日には、木々の間から差し込む日差しで、絶好の森林浴に!
澄んだ空気を胸いっぱいに吸い込めば、日々の疲れも自然と和らぎ、心身ともに癒されていくのが感じられるでしょう。
しばらくすると視界がひらけてきます。
遠くの山並みや空の広がりが目の前に現れたとき、その景色に思わず息を呑むことでしょう。
ただし、足元には小石や傾斜がある場所もあるため、風景に見惚れすぎず、慎重に歩を進めることが大切です。
視界が開けたのも束の間、再び樹木の間を縫うように歩くルートへと戻ります。
森の奥深くへと進む道は、まるで自然の懐にさらに深く抱かれていくようで、神聖な空気が肌をなでるように感じられます。
森の静けさの中で、どこからともなく聞こえてくる鳥たちのさえずりに耳を傾けながら歩いていくと、やがて最初のビュースポットが姿を現します。
富士スバルライン五合目からここまでは約15分。
視界が開け、富士山の壮大な姿が目の前に広がるその瞬間、言葉にできない感動が胸に押し寄せてきます。
ここでは、古くから伝わる富士山のお天気占いを楽しむこともできます。
雲の動きに耳を傾けるように富士山を見上げて天気を占ってみませんか?
富士山のお天気占いとは?
昔から、この地に生きる人々は、富士山を仰ぎ、空に浮かぶ笠雲を見て翌日の天気を占ってきました。それは、自然と共に暮らし、自然と語らうという、日本人ならではの風習でもあります。
①れんず笠(レンズ雲)
まるで富士山が厚い綿帽子をかぶっているように見える、ふくらんだレンズ状の雲で、暖冬の年によく見られる特徴的な雲です。上空の風が強いときに現れるため、強風が吹くサインであるともいわれています。
②ひとつ笠
雨雲ともいい、5月〜6月頃に現れ、ひとしきり雨を降らせる雲です。梅雨の走りとも呼べるこの雲が現れると、里では農作物への恵みを静かに期待する季節の訪れとなります。
③まえかけ笠
富士を取り囲むように現れる、ドーナツ型の独特な雲です。梅雨の合間の束の間の晴れ空に、やがて崩れる空模様の儚さを知らせる、自然からのささやきです。
引用:https://www.v-frontier.com/wordpress/?p=10270
しばらくすると、簡易ベンチのあるスポットにたどり着きます。
ザックを降ろして腰かければ、時間の流れがゆるやかにほどけていくようです。ただ深呼吸するだけでも心が洗われるようなひとときが待っています。
また、御中道巡りの際に、時折見える赤いお立ち台のような人工物は導流堤と言い、土石流の流れを制御するためのものです。
「インスタ映えを狙いたい!」と、道を外れて登らないように注意してくださいね。
やがて、周囲の景色は一変。草木の緑が姿を消し、赤茶けた地表が広がり、まるで火星に降り立ったかのような異世界が広がります。
富士山の火山活動が作り出した無機質な美しさが、静かに語りかけてくるようです。
そして、偏西風によって雪の結晶や火山噴出物が樹木にぶつかる事で風下の枝のみが発達する旗型樹形を見つけるのも楽しみの一つ!
風の向きに合わせて枝が一方向にだけ伸びるその姿は、自然の脅威と、それに順応する命のたくましさを静かに物語ります。
しばらくすると再び森の中へ。
ここでは、小さなきのこの群れなど、よく目を凝らさないと見過ごしてしまう“森の小さな命”たちとの出会いが待っています。
やがて、2つ目のビュースポットに到達!再び目前に現れる富士の姿に、誰もが立ち止まり、しばし言葉を失うことでしょう。
この地点までは、先ほどのポイントから約25分の道のり。ベンチに腰を下ろして、ゆっくりと息を整えれば、心までほぐれるような休息が得られます。
また、季節が合えば、足元には可憐な高山植物の姿も!
7月には淡いピンクのハクサンシャクナゲが、8月から9月にかけては赤い実をつけたコケモモが、登山者をそっと励ますように咲いています。
そして再び、森の緑が途切れ、赤茶けた溶岩地帯が広がる“火星の大地”へ。風景が変わるたび、まるで異なる世界を旅しているかのような不思議な感覚が湧いてきます。
周辺では土が赤いのが特徴ですが、この赤土の正体は、火山灰に含まれる鉄分が酸化して生まれる色彩です。
大地そのものが語る歴史に触れるたび、富士山という火山の壮大な営みに圧倒されます。
地面に敷かれた石畳が足元を導いてくれます。迷うことなく、安心して一歩ずつ前へ進みましょう!
整備された道の優しさに、人の手の温もりが感じられます。
そして、遠くに東屋の屋根が見えてくると、3つ目のビュースポットに到着!
ようやくたどり着いた安堵とともに、腰を下ろして山の風景を全身で感じてみてください。
2つ目のビュースポットからここまでは約25分。
視界の先には、眼下に広がる町の風景。遠くに広がる人々の暮らしを眺めながら、自然と人との繋がりを静かに想う時間が流れます。
そしてこのあたりから見えるのが、富士山の秘密のひとつである寄生火山。
富士山には、その山腹や裾野に数多くの円錐状のコブがありますが、これはマグマが富士山の弱い箇所を破って、地表に噴出して形成したもので、寄生火山と呼ばれて言います。
巨大な富士山の内に秘められた力が、地中の脈を押し破り、地上に新たな命を噴き出した―そんなドラマが、今もその形に残されているのです。
東屋付近(御庭・奥庭付近)にあるロート状(上が広く下が細くすぼまって穴になっている形状)のくぼみは、寄生火山の火口の部分が地表に現れているものです。
その無言の存在が、富士の歴史の重みと、地球の息吹のリアルさを教えてくれます。
そして、最後のひと歩き。わずか5分ほどで、神秘的な風景が広がる「御庭エリア」の分岐点に到着します。
これから進む道が二手に分かれ、どちらも異なる物語を連れてあなたを待っています。
富士山の庭園のような異世界風景が広がる「御庭」
溶岩が大地となり、風雨がその表面を彫刻し、自然という名の芸術家が作り上げた唯一無二の風景が広がっている「御庭」。
特に見どころは、珍しい植物の数々。
高木が育たず森林が形成できない限界高度を森林限界と呼びますが、富士山の森林限界にあたるこの御庭付近には、カラマツやコメツガ等がしぶとく根を張っています。
本来であれば、街中の公園では空へとまっすぐに伸び、25~30メートルの高さに達するほどの堂々たる高木ですが、ここではその背丈を自ら抑えるようにして、風雪に耐え、低く、静かにその命を繋いでいます。
その姿は、まるで自然の厳しさを受け止めながらも、しなやかに生きる者の在り方そのもの。御庭の静けさの中で、自然の尊さと生命のたくましさを肌で感じられます。
Bルート
まずは手前のBルートから紹介します。
御庭の分岐点に立ち、右手に伸びるルートが「Bルート」です。少し急な下りや階段が続く道ですが、その先には富士山の絶景と多彩な自然が待っています。
このルートの魅力は、何と言ってもその変化に富んだ風景。石畳の階段を下るごとに景色が切り替わり、森の深みから空の広がりまで、富士の懐をたっぷりと味わえる道となっています。
自然の中を導かれるようにして進むその感覚が、どこか神聖ですらあります。
分岐点から約15分(登り約20分)ほどで東屋に到着します。
晴天の日には、富士の姿がまっすぐに、澄み切った空に浮かび上がります。歩いてきた疲れも吹き飛ぶような、格別の風景が目の前に広がっています。
東屋から約5分(登りは約10分)ほど歩くと、やがて見えてくる富士スバルラインの道路。
車の音が少しずつ近づいてくると、現実へと帰る合図のように感じられ、名残惜しさと達成感が入り混じった不思議な気持ちになります。
ふと立ち止まり、振り返ってみると、そこには、先ほど通ってきた道と富士山が重なり合った壮大な景色が広がっています!
進んでいたときには見えなかった風景が、あなたの背中にそっと語りかけてきます。
Cルート
Cルートは、御庭の天然の庭園の雰囲気をたっぷりと味わえるルートです。
ゆるやかな起伏があり、歩くたびに景色が変わるこの道は、自然と心を通わせるための静かな散歩道のようでもあります。
足元に目をやると、小さな発見がたくさん隠れています。
松ぼっくりやどんぐり、風に運ばれてきた小さな葉や実……そんな自然の贈り物を探しながら歩くと、旅の歩幅も自然とゆっくりに!
そして何より、このCルートの醍醐味は、運が良ければ広がる雲海の絶景。
雲海が眼下に広がる様はまさに天上の景色で、歩いた者にしか味わえない感動が待っています。
さらに歩を進めると、再び深い森へと入っていきます。ここでは木々が静かにささやき合い、霧がかかればあたりは幻想の世界。
自然が創り出す神秘的な空間で、森林浴を楽しみましょう!
富士スバルラインの道路が姿を見せたなら、それはCルートの終点。
時間にすると、分岐点から、下りは約30分・登りは約40分の道のりです。
それでも、その一歩一歩に詰まっているものは、時間以上に価値のある体験!自然との語らい、風景との出会い、そして自分との対話です。
富士山の自然と信仰が交差する静寂の空間「奥庭」
奥庭は、富士山の厳しくも美しい自然と、古来より脈々と受け継がれてきた信仰が交わる、特別な静寂の空間です。
奥庭自然公園は、そんな奥庭に位置し、遊歩道が整備されているため初心者でも気軽に歩くことができる自然豊かな公園です。
まるで富士山の奥座敷に足を踏み入れたかのような、凛とした静けさと荘厳さが漂っています。
奥庭には天狗が住むといわれる「天狗岩」が鎮座しており、山岳信仰の名残を感じることができます。
その存在を目にした瞬間、言い知れぬ神聖な気配が心を満たしていくのを感じることでしょう。
奥庭自然公園の入口には、駐車場やトイレなどの設備が整っており、初めての人でも安心して訪れることができます。
入口を抜ければ、すぐ目の前に広がる静まり返った樹海の森。
木々がうねり、枝を絡ませるようにして生い茂る様は、まるで緑の迷宮のよう。
森の中を静かに歩くこと約10~15分。小道の先に現れる奥庭荘は、まるで深山に現れた山小屋のような、温かな雰囲気に満ちています。
奥庭荘では、地元の特産品を買ったり、温かい軽食を楽しんだりすることができます。
長い道のりのひと休みにぴったりな場所で、ほっと一息つく時間が心に沁みわたります。
メニューなどはこちらを参照してくださいね → Okuniwa-so
そして奥庭荘のすぐそばには、天狗岩が厳かにたたずんでいます。その存在感は圧倒的で、ただそこにあるだけで、空気が少し張りつめたように感じられます。
奥庭荘を出て少し歩くと、道は二手に分かれています。
どちらを選んでもぐるりと一周できるようになっており、どちらにも違った美しさが待っています。
今回は、道なりにまっすぐ進みながら、ゆっくりと奥庭をひとまわりするコースを案内します。
足元に続くのは、石畳の道。両脇には低木がやさしく揺れ、晴れた日にはその頭上に、澄み渡る青空がのびやかに広がります。
まるで天と地の狭間を歩いているような、非日常の風景がそこにあります。
しばらく進むと、分岐点の合流地点に到着します。是非、足を止めて振り返ってみてください。
そこには、これまでの旅路を見守るように聳える富士山の雄大な姿が静かに待ってくれています。
もう少し進むと、東屋がひっそりと佇んでいます。
富士山を目の前にした絶好のビュースポットで、ベンチに腰を下ろし、風に吹かれながら心を鎮め、優雅なひとときを過ごしましょう。
ゆっくりとしたペースで約20分。ついに奥庭展望台に到着です。ここまで来れば、心地よい疲れと達成感が体を包みます。
展望台からは、眼下に広がる本栖湖、朝霧高原、遠くには駿河湾や南アルプスの山々まで見渡せる大パノラマが広がります。
もし雲海が出ていたなら、それはまさに天の恵み!心が浮き立つような景色に出会えます。
展望台で十分に景色を堪能したら、分岐点まで戻り、まだ歩いていない道の方へ進みましょう。
違う道から見る風景はまた新鮮です。
空気が澄んでいれば、遥か頭上にそびえる富士山頂がくっきりと見え、別れを惜しむようにその姿を見せてくれます。
奥庭荘と天狗岩の姿が再び現れたら、奥庭の周遊は終了です。
静寂と神秘に包まれたひとときが、心に深く刻まれていることでしょう。
御中道~御庭~奥庭で見られる動植物
富士山五合目周辺には、麓ではあまり見られない動植物が生息しています。
ここでは、御中道~御庭~奥庭で見られる動植物と特徴を紹介します。
富士山の大切な自然を守るために、植物を摘んだり、動物を捕まえたりするのは禁止です。また、写真撮影に夢中になって道を外れたり、貴重な植物を踏みつけたりしないようにしましょう。自然を楽しむには、自然を大切にする心が何より大事です。美しい風景と生き物たちをこれからもずっと見られるように、マナーを守って観察を楽しんでくださいね。
動物
ホシガラス<年間>
ハトくらいの大きさで、全身は茶褐色で白い斑点が散らばっています。鳴き声は「ガーッガーッ」としわがれたような声で鳴くのが特徴です。

ウソ<夏>
ずんぐりとした体型で、スズメよりやや大きめ。サクラの花芽や木の実を好み、「フィー」と口笛のようなやさしい声で鳴きます。

アマツバメ<夏>
長い翼を使って空中を自在に飛び回りながら昆虫を捕らえる、飛行の名手。断崖に巣を作り、「ジュリリリ」と鳴きます。

ビンズイ<夏>
スズメより少し大きく、体の上側はオリーブ色。「ヅィー」と濁ったような声でにぎやかに鳴く、森のムードメーカーです。

ルリビタキ<夏>
小型の鳥で、オスは鮮やかな青色、メスは尾だけがわずかに青くなります。虫を主に食べ、「ヒョリ、ヒョリ」とやわらかくさえずります。

メボソムシクイ<夏>
オリーブ色の小鳥で、枝の間を軽やかに動きながら昆虫を捕まえます。「ジィ、ジィ、チョリ、チョリ」とリズミカルな鳴き声が特徴です。

ニホンカモシカ<年間>
灰色がかった体と、短くて鋭い角が特徴。名前に「シカ」とありますが、実はウシの仲間。ブナの葉や木の皮などを食べる草食動物です。

オコジョ<年間>
小型のイタチで、夏は茶色、冬は真っ白に衣替えしますが、黒い尻尾の先だけは一年中変わりません。野ネズミや鳥を捕まえて食べます。見つけたらラッキー!

二ホンリス<年中>
ふさふさの尾が魅力のリスで、夏毛は赤褐色、冬毛は薄茶色になります。耳の先には冬になるとふさ毛が出現!ドングリやクルミが大好物です。

ノウサギ<年中>
夕方や早朝に活発に動き、草や葉を食べます。富士山周辺のノウサギは褐色の体色をしていて、自然とよくなじんでいます。

植物
ハクサンシャクナゲ<7月下旬~8月上旬>
高山に育つ常緑の低木で、夏になると御中道沿いにピンク色の花を咲かせます。満開の時期は、息をのむほどの美しさです。

コケモモ<7月~10月上旬>
小さな常緑低木で、夏には白やピンクの花を数個咲かせ、秋には赤い実がなります。この実は甘酸っぱく、ジャムや果実酒に使われることも。実はブルーベリーの仲間!

ホタルブクロ<7月~8月>
草むらの中でもよく目立つ、釣鐘型の大きな花が特徴。1本の茎に2~5個ほど連なって咲き、花の長さは4~5cm。可憐な姿が目を引きます。

ダイモンジソウ<8月~10月>
かわいらしい花を咲かせる多年草。漢字の「大」という文字と花びらの形が似ていることから、この名前で呼ばれています。また、「一薬草」とも呼ばれ、昔から虫刺されや傷に使われる薬草として使われていました。

ベニバナイチヤクソウ<6月下旬~7月>
ピンク色のきれいな花をつけます。イチヤクソウは漢字で書くと「一薬草」で、虫刺されや傷に効く薬草なんだとか。

ミヤマオトコヨモギ<7月~9月>
落ち着いた色合いの渋い花を咲かせる、日本固有の植物。五合目ではおなじみの存在です。丸い形の花が集まって、ユニークな雰囲気を漂わせます。

ベニイタドリ<7月~8月>
小さな赤い花をたくさん咲かせる可愛らしい植物。食用や薬用としても知られています。乾燥した地でもたくましく生きる姿には心打たれます。

ダケカンバ<年間>
高山帯で見られる樹木で、白っぽい幹が特徴。寒さや雪崩にも強く、岩の上や急斜面など、過酷な環境でもしっかり根を張って育ちます。

カラマツ<年間>
秋になると黄金色に色づき、美しい紅葉を見せてくれる針葉樹。紅葉の時期が遅めなことから、冬のはじまりを告げる木としても知られています。

シラビソ<年間>
モミの仲間の常緑針葉樹で、まるでクリスマスツリーのような形が特徴。樹高は約20mと高く、山の中でもひときわ存在感があります。

富士山の植物垂直分布
富士山のように標高の高い山では、登るにつれて気温がどんどん下がっていきます。目安としては、100m登るごとに約0.6℃ずつ気温が下がると言われています。
そのため、山のふもとでよく見られる植物も、標高が上がるにつれて姿を消し、代わりに冷涼な環境を好む別の植物たちが姿を現します。このように、標高によって植物の種類が変化する現象を「植物の垂直分布」と呼びます。
一般的には、同じような気候条件の山では似たような垂直分布が見られますが、富士山は比較的新しい火山のため、中部地方の他の山とは異なる、独自の植物分布を見せてくれるのが特徴です。富士山ならではの植物を観察することも、自然散策の大きな楽しみのひとつです。
まとめ
今回は、標高約2,300m付近を巡る「御中道~御庭~奥庭」のトレッキングコースの魅力を紹介しました。
四季折々に変化する風景は、訪れるたびに新たな発見を与えてくれるでしょう。
自然を身近に感じながら、富士山の奥深い魅力に触れる、特別な時間を過ごしてみてくださいね!
また、富士スバルライン五合目を楽しむためのモデルコースや見どころも紹介していますよ!
こちらから合わせてチェックしてくださいね!
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