青木ヶ原樹海のなかにある富岳風穴(ふがくふうけつ)は、総延長201mの横穴型の溶岩洞窟です。となりの鳴沢氷穴が階段だらけの竪穴型なのに対して、こちらはほぼ平坦で歩きやすいのが特徴。小さな子ども連れでも、足元に不安のある方でも見学できます。
洞内は真夏でも平均3℃。夏でも溶けない氷柱、ロープのような模様の縄状溶岩、昭和初期まで使われていた天然の冷蔵庫跡と、短い15分のあいだに見どころが詰まっています。
この記事では、富岳風穴の料金・営業時間・服装・所要時間と、鳴沢氷穴とセットで回るときの目安をまとめました。
富岳風穴とは|歩いて一周できる、横穴型の溶岩洞窟


富岳風穴は、山梨県南都留郡富士河口湖町の青木ヶ原樹海にある溶岩洞窟です。鳴沢氷穴とともに、1929年(昭和4年)に国の天然記念物に指定されました。
総延長は約201m、高さは8.7m。起伏が少なく、なだらかな横穴を周遊できる造りです。
できたきっかけは864年(貞観6年)の富士山の噴火。1,000℃を超える溶岩が流れ出し、表面だけが先に冷えて固まりました。内側の熱い溶岩はそのまま流れ続け、最後に流れ去ったあとに巨大な空洞が残ります。いま歩いている通路は、1,100年以上前に溶岩が流れていた跡そのものです。
「風穴」という名前も、この横穴型の構造に由来しています。洞窟のなかを風が通り抜けることから、そう呼ばれるようになりました。
見どころ|天然の冷蔵庫、音の響かない洞窟、そして氷柱
富岳風穴は、昭和初期まで「冷蔵庫」として使われていた



富岳風穴の洞内は、年間を通して平均3℃。外が真夏でも、この温度がほとんど変わりません。
その冷たさは、かつて本当に「設備」として使われていました。冷蔵機器のなかった時代、洞窟の最深部で蚕の卵(蚕種)や樹木の種子を貯蔵していたのです。
その貯蔵庫は最深部にいまも残っていて、見学できます。電気を使わず、洞窟の冷気だけで一年中3℃を保つ設備。当時としてはとても貴重なものでした。
手を叩いても、音が響かない
富岳風穴のなかでは、手を叩いても音がほとんど反響しません。壁の玄武岩に細かな気泡が多く、音を吸収する性質があるためです。洞内で実際に試してみると、外との違いがはっきり分かります。
氷柱と縄状溶岩|溶岩が流れた跡が、そのまま残る


溶岩が流れた後の形が残る壁
入口の階段を下りると、まず氷柱が出迎えてくれます。天然の氷は冬にでき、初秋ごろまで残ります。冬にはさらに大きく成長し、ライトアップされた姿を見られます。
進んでいくと現れるのが縄状溶岩。流れてきた溶岩が押し重なってできた、ロープのような模様です。壁沿いに残る溶岩棚とあわせて、ここを溶岩が流れていたことが実感できます。
「光り苔」と呼ばれる珪酸華

奥の行き止まりの岩肌には、銀色に照り輝いて見える珪酸華(けいさんか)が広がっています。「光り苔」とも呼ばれ、光を当てるとエメラルド色に反射します。これだけ一面に見られる場所は珍しく、洞内でもとくに印象に残る場所です。
冬の富岳風穴は外よりあたたかい?!冬に行く魅力
富岳風穴は「真夏の避暑地」として知られていますが、冬に行く価値もあります。氷柱がいちばん大きく育つのは寒い時期で、ライトに照らされた氷は夏とはまったく違う迫力です。
しかも洞内は一年中約3℃。富士五湖周辺の冬は氷点下まで冷え込むので、外より洞窟のなかのほうが暖かく感じる日もあります。夏と冬で体感が正反対になるのが、この洞窟のおもしろさです。
鳴沢氷穴とセットで回る|順番は「風穴が先、氷穴が後」



鳴沢氷穴⇔富岳風穴まで青木ヶ原樹海歩道を歩いていくこともできる
富岳風穴から車で約2分の場所にあるのが鳴沢氷穴です。同じ864年の噴火でできた洞窟ですが、性格はまったく違います。
富岳風穴が平坦で歩きやすい横穴なのに対して、鳴沢氷穴は階段を下りていく竪穴型。天井が91cmしかない区間もあり、体をかがめて進みます。歩きやすさを取るなら富岳風穴、探検気分を味わいたいなら鳴沢氷穴です。
体力に不安がある場合は、平坦な富岳風穴を先に見てから鳴沢氷穴へ向かうと、無理なく回れます。
富岳風穴の概要と注意点




所要時間|約15分、鳴沢氷穴とセットでも1時間半
富岳風穴の見学は約15分のコースです。写真を撮りながらゆっくり歩いても、それほど時間はかかりません。
鳴沢氷穴とセットで見学する場合も、移動時間を含めて1時間半あれば十分に回れます。2つの洞窟は約1.6kmしか離れておらず、車なら約2分です。
料金と営業時間|大人350円、セット券は大人600円
入洞料は大人350円、小学生以下200円。15名以上の団体料金(大人250円・小人100円)もあります。
両方に行くなら、富岳風穴と鳴沢氷穴のセット券がお得です。個別に買うと700円のところ、セットなら大人600円・小学生300円。ほとんどの人が2つセットで見学するので、窓口でセット券を頼むのが基本になります。
営業時間は季節で細かく変わります。
| 期間 | 営業時間 |
|---|---|
| 3月16日〜7月31日 | 9:00〜17:00 |
| 8月1日〜10月15日 | 9:00〜17:30 |
| 10月16日〜11月15日 | 9:00〜17:00 |
| 11月16日〜2月15日 | 9:00〜16:30 |
| 2月16日〜2月28日 | 9:00〜16:00 |
| 3月1日〜3月15日 | 9:00〜16:30 |
基本は年中無休ですが、天候や洞内の状況で営業時間が変わったり、臨時休業になることがあります。
注意点|服装と靴、子ども連れとペット


洞内の平均気温は年間を通して約3℃。外との気温差が大きいので、真夏でもパーカーや薄手の上着を1枚持っていくと安心です。見学は15分ほどなので、冬用の厚手コートまでは要りません。
足元は鳴沢氷穴より歩きやすいものの、洞内は暗く、一部に階段や濡れた場所があります。滑りにくい運動靴で行ってください。サンダルやヒール、スカートは向きません。
もうひとつあると安心なのが帽子です。入口付近など天井が低い場所があり、背の高い人は頭をぶつけやすくなっています。
富岳風穴には身長制限も年齢制限もありません。抱っこ紐でも入洞できます。
一方の鳴沢氷穴は、洞内が狭く危険な場所があるため、身長100cmに満たないお子さまは入洞できず、抱っこ・おんぶでの入洞も不可です。セット券を買う前に、お子さまが氷穴にも入れるかを確認しておくと安心です。
小さなお子さま連れやご年配の方と一緒なら、まず富岳風穴を選ぶのが無難です。
ペットは、富岳風穴・鳴沢氷穴とも入洞できません。国の天然記念物のためで、キャリーケースに入れていても不可です。ペット連れの場合は、交代で入洞することになります。
アクセスと駐車場|拠点は「森の駅 風穴」
最寄り駅は富士急行線の河口湖駅。歩ける距離ではないので、駅前から出ている路線バスかタクシーを使います。
車なら中央自動車道の河口湖ICから約20分、国道139号を経由します。駐車場は無料で、普通車約100台。
駐車場に隣接しているのが森の駅 風穴です。チケット売り場のほか、売店とフードコーナーがあり、見学の前後に立ち寄れます。山梨のお土産に加えて、吉田うどんや富士宮焼きそばといったご当地グルメも。とうもろこしソフトのような、この土地ならではのメニューもあります。
| 名称 | 富岳風穴(ふがくふうけつ) |
|---|---|
| 所在地 | 〒401-0332 山梨県南都留郡富士河口湖町西湖青木ヶ原2068-1 |
| アクセス | 富士急行線「河口湖駅」から路線バスまたはタクシー/中央自動車道 河口湖ICから車で約20分 |
| 営業時間 | 9:00〜16:00・16:30・17:00・17:30(時期により変動) |
| 定休日 | 年中無休(臨時休業あり) |
| 入洞料 | 大人350円/小学生以下200円(鳴沢氷穴とのセット券は大人600円・小学生300円) |
| 所要時間 | 約15分 |
| 洞内気温 | 年間平均約3℃ |
| 総延長 | 約201m(高さ8.7m) |
| 洞窟の種類 | 横穴型の溶岩洞窟 |
| 駐車場 | 無料・普通車約100台 |
| ペット | 入洞不可(キャリーケースも不可) |
| HP | https://www.mtfuji-cave.com/ |
洞窟のあとは、樹海のそばに泊まる|グランピングヴィレッジ富士河口湖


富岳風穴があるのは、河口湖と西湖のあいだに広がる青木ヶ原樹海のなか。日帰りでも回れますが、このあたりに泊まると、朝いちばんの空いている時間に洞窟へ入れます。
近くにあるのがグランピングヴィレッジ富士河口湖です。施設名は「富士河口湖」ですが、所在地は隣の鳴沢村。富岳風穴からも鳴沢氷穴からも車ですぐの距離にあります。
全棟に温泉が付いていて、富士山を望むスイートヴィラから森のなかのガーデンドームまで選べます。3℃の洞窟で冷えた体を、部屋の湯船で温められる立地です。
| 住所 | 〒401-0320 山梨県南都留郡鳴沢村鳴沢7430 |
|---|---|
| HP | https://www.nature-glamping.com/ |
まとめ
富岳風穴は、歩きやすさが最大の魅力の洞窟です。総延長201mの横穴を15分で一周でき、身長制限もありません。小さなお子さま連れやご年配の方と一緒でも見学できます。
見どころは、夏でも残る氷柱、縄状溶岩と溶岩棚、蚕の卵を保管していた天然の冷蔵庫跡、そして音が響かない玄武岩の壁。15分のあいだに、富士山の噴火と人の暮らしの両方に触れられます。
鳴沢氷穴とはセット券でまとめて回れて、2つ合わせても1時間半ほど。性格の違う洞窟を続けて見ると、それぞれの特徴がよく分かります。
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