富士山の北西麓、青木ヶ原樹海のなかにある鳴沢氷穴と富岳風穴。どちらも864年の噴火でできた溶岩洞窟で、国の天然記念物です。
2つは約1.6kmしか離れていません。車なら約2分、歩いても15〜30分の距離です。「どっちに行けばいいの?」と迷う人が多いのは、それだけ近くて似ているからでしょう。
先に結論を書くと、どちらか一方を選ぶ意味はあまりありません。両方回っても1時間半ほどですし、セット券もあります。それでも1つだけ選ぶなら、この記事の違いを見てから決めてください。
ひと目でわかる鳴沢氷穴と富岳風穴の違い
| 鳴沢氷穴 | 富岳風穴 | |
|---|---|---|
| 形 | 竪穴型(階段を下りる) | 横穴型(ほぼ平坦) |
| 総延長 | 約153m | 約201m |
| 見学時間 | 約6〜7分 | 約15分 |
| 歩きやすさ | 急な階段・狭い通路・天井91cmの区間あり | 起伏が少なく歩きやすい |
| 体感の寒さ | 寒く感じる | ひんやりする程度 |
| 混雑 | 混みやすい | 比較的スムーズ |
| 子ども | 身長100cm未満は入洞不可 | 身長・年齢の制限なし |
| 見どころ | 氷柱・地獄穴 | 氷柱・縄状溶岩・天然の冷蔵庫跡・珪酸華 |
| 所在地 | 鳴沢村8533 | 富士河口湖町西湖青木ヶ原2068-1 |
| 入洞料 | どちらも大人350円・小学生以下200円(セット券は大人600円・小学生300円) | |
どこが違う?5つのポイントで比べる
形|竪穴の鳴沢氷穴、横穴の富岳風穴


同じ噴火でできた洞窟ですが、形がまったく違います。
鳴沢氷穴は竪穴型。入口から階段を下りていき、地下21mまで潜って一周して戻ってきます。石を積んだ階段は湿っていて、狭い通路や天井が91cmしかない区間もあります。かがんで進む場面があり、体感としては洞窟探検です。
富岳風穴は横穴型。全体になだらかで、起伏がほとんどありません。総延長は氷穴より長い201mですが、歩きやすさはこちらが上です。
この形の違いが、寒さ・混雑・子ども連れの可否まで、ほぼすべての違いにつながっています。
寒さ|同じ3℃でも、鳴沢氷穴のほうが寒く感じる
どちらも年間を通して平均約3℃ですが、体感は鳴沢氷穴のほうが寒いです。
理由は竪穴型という構造にあります。冷たい空気は重いので、下へ下へとたまっていきます。冬のあいだに入り込んだ冷気が洞窟の底から逃げず、外気の影響も受けにくい。だから、同じ気温でも空気の冷たさが違って感じられます。
とはいえどちらも滞在は15分以内。厚手のコートは必要なく、羽織るものが1枚あれば足ります。
子ども連れ|身長制限があるのは鳴沢氷穴だけ
ここは行く前に必ず確認しておきたいポイントです。
鳴沢氷穴は、身長100cmに満たないお子さまは入洞できません。抱っこ・おんぶでの入洞も断られます。洞内が狭く、危険な場所があるためです。
富岳風穴には身長制限も年齢制限もありません。抱っこ紐でも入洞できます。
なおペットはどちらも入洞できません。国の天然記念物のためで、キャリーケースに入れていても不可です。連れている場合は、交代で入洞することになります。
混雑|混みやすいのは鳴沢氷穴
鳴沢氷穴のほうが混みます。知名度が高いことに加えて、洞内が狭く、一度に進める人数が限られるためです。
夏休みやゴールデンウィーク、連休の11時〜14時ごろは入口に列ができます。ゆっくり見たいなら、午前の早い時間か夕方に寄せるのがおすすめです。
昔の使い道|蚕の卵と、天然の氷


冷蔵庫がなかった時代、この2つの洞窟は実際に「冷蔵庫」として使われていました。
富岳風穴では、昭和初期まで蚕の卵(蚕種)や樹木の種子を貯蔵していました。最深部にはその設備が残っていて、いまも見学できます。
鳴沢氷穴も、天然の氷を保存する場所として、また蚕の卵の貯蔵に使われていたと伝えられています。
観光地としてではなく、暮らしの設備として使われていた。その視点で見ると、洞内の景色が少し変わって見えます。
どっちを先に回る?|順番は「風穴が先、氷穴が後」




観光サイトでは「富岳風穴が先」というルートがよく紹介されます。ただ実際に回ってみると、どちらから行っても大きな違いはありません。
順番が効いてくるのは、体力に不安があるときです。平坦な富岳風穴で洞窟の雰囲気に慣れてから、階段の多い鳴沢氷穴へ進むと無理がありません。逆に、混雑を避けたいなら混みやすい鳴沢氷穴を朝いちばんに済ませるという組み方もあります。
駐車場はどちらも無料で、それぞれ普通車が約100台。車を停め直して回ることになりますが、移動は2分ほどです。
結論|迷ったら両方。1時間半とセット券で足ります
見学時間は鳴沢氷穴が6〜7分、富岳風穴が15分。移動を含めても1時間半あれば両方回れます。料金も、個別に買えば700円のところ、セット券なら大人600円・小学生300円です。
もしどちらか一つを選ぶなら、以下の選び方がおすすめ。
- 探検気分を味わいたい/写真を撮りたい → 鳴沢氷穴
- 小さな子ども連れ/足元に不安がある → 富岳風穴
- 時間が15分しかない → 鳴沢氷穴(見学6〜7分)
- 洞窟の地形や歴史をじっくり見たい → 富岳風穴
料金・営業時間・服装・アクセスは、洞窟ごとの記事にまとめています。行く前にこちらもどうぞ。
2つの洞窟を回る日の拠点に|グランピングヴィレッジ富士河口湖
鳴沢氷穴と富岳風穴は、どちらも河口湖から車で20分ほど。日帰りでも回れますが、近くに泊まると混みはじめる前の朝いちばんに入れます。混雑を避けたいなら、これがいちばん確実な方法です。
2つの洞窟のちょうど近くにあるのがグランピングヴィレッジ富士河口湖です。施設名は「富士河口湖」ですが、所在地は鳴沢村。鳴沢氷穴からも富岳風穴からも車ですぐです。
全棟に温泉が付いていて、富士山を望むスイートヴィラから森のガーデンドームまで選べます。3℃の洞窟を2つ回った日の終わりに、部屋の湯船でゆっくりできます。
| 住所 | 〒401-0320 山梨県南都留郡鳴沢村鳴沢7430 |
|---|---|
| HP | https://www.nature-glamping.com/ |
まとめ
鳴沢氷穴と富岳風穴の違いは、突きつめると竪穴か、横穴かの一点です。そこから、寒さの感じ方も、混雑も、子どもが入れるかどうかも決まってきます。
スリルと探検気分なら鳴沢氷穴、歩きやすさと見どころの多さなら富岳風穴。ただ2つは1.6kmしか離れておらず、合わせても1時間半、セット券なら大人600円です。迷ったら両方回るのがいちばん納得できます。
同じ噴火から生まれた洞窟が、形が違うだけでここまで別ものになる。それを続けて体験できるのが、この2つを回るいちばんの面白さです。
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